世界の臭い食べ物:シュールストレミング

世界の臭い食べ物:シュールストレミング

納豆もかなり臭いと思いますが、世界には納豆の上をいく臭い食べ物が沢山あります。中でも「世界一臭い缶詰」と呼ばれるシュールストレミングの臭さは有名です。曰く「缶を開けただけで失神する」であるとか、「生ごみを常温で放置した匂い」であるとか、「化学兵器と誤解されて騒動を起こすかもしれない」などと言われています。シュールストレミング試食会の動画などを見ると、大きなハエがどんどん寄って来ていてその匂いの凄さを感じました。一部の国では「危険物」という扱いをされているほどだそうで、そこまで言われると逆に興味が湧いてきます。しかし一缶5000円もする高級品なのでまだ手が出せずにいます。

シュールストレミングとは

シュールストレミングは、主にスウェーデンで生産・消費されています。材料は塩漬けのニシンです。その強烈な臭いから「世界一臭い食べ物」とも評されます。スウェーデン語で「スール(sur)」は「酸っぱい」を、「ストレミング(stromming)」は「バルト海産のニシン」を意味しています。製造には、バルト海で4月から5月に獲れた産卵期直前のニシンを使うます。これはかつて、勅令で定められていたそうです。90㎏入り樽の中に、頭とワタを除いたニシンを薄い塩水に漬け、12~18℃で10~12週間発酵させます。販売の解禁日は8月の第3木曜日です。缶の中でも発酵が進んでいるため、食べごろがあり、発酵が進み過ぎると中の身がドロドロに溶けて液状化してしまうので注意が必要です。購入後は冷蔵庫などで保管し、缶が膨らみ過ぎないうちに食べるようにしましょう。商品によっては切り身のままのもの、頭や腸も使っているもの、カズノコが一緒に入っているものもありますが、カズノコは危険なので食べるべきではないとされています。スウェーデンではシュールストレミングは目に良いとされており、白内障や緑内障防止になると言われています。民間療法ではありますが、実際に効果があったと言う声も多いようです。しかし、医学界ではいまだに認められていません。

歴史

中世ヨーロッパでは肉の替わりにニシンやタラなどの塩漬けの魚が盛んに流通していましたが、保存には塩が必要でした。北欧に位置するスウェーデンではニシンは豊富に獲れたのですが、製塩に必要な日射も薪も乏しく、塩は貴重品でした。このため、樽で薄い塩水に漬けるという保存方法が用いられたのですが、固形の塩と層状に詰め込む塩蔵保存に比べ、腐敗は防げても発酵は止められませんでした。そのため、通常では耐えがたいほどの臭気を発するまで極度に発酵してしまうのです。こうして生まれたのがシュールストレミングでした。強烈な臭いがあるシュールストレミングですが、貴重な塩を節約してニシンを保存できるこの方法は、14世紀ごろにはすでにスウェーデン中に広まり、17世紀には王軍の主要な糧食とされていました。

缶詰の登場

それまで樽で作る方法がとられていたシュールストレミングですが、19世紀に缶詰が実用化されて以降は、缶の中で発酵を継続させる形式のシュールストレミングが出現してきました。缶詰は7月に製造され、適度に発酵が進んだ9月頃が食べごろになります。通常、缶詰は保存食として製造されるため、内容物は加熱殺菌されます。しかし、シュールストレミングは、日本の漬物のように発酵状態を保ったまま缶詰にされ、缶の中で発酵が進行するもののため、日本では厳密には缶詰とは呼べません。密封状態で発酵させるため、発生した二酸化炭素などのガス圧によって缶が丸く膨らみます。こうした状態の缶はスウェーデン各地のスーパーマーケットでよく見られます。開封する際は、そのガスによって汁が噴出すると臭いが広範囲に拡散するため、屋外で開けることが推奨されています。噴出を抑える手段としては、水中で開封するなどの開け方もあるのですが、缶を傾けて内部にガスだまりとつくり、そこに缶切りを突き立てるという方法が最も一般的です。後発酵食品なので、保管環境により匂いや味が大きく異なり、インターネット上で行われている「試食会」等のレポートではその反応にもかなりの差が見られます。2014年2月には、ノルウェーで25年間に渡り放置されたシュールストレミングの缶詰が小屋から発見され、爆発物処理班と缶詰の専門家が出動して処理するという事件が起きたそうです。その中身は具材の原型を留めておらず、液体状で臭いもひどく、食用に堪えられなかったとのことです。

シュールストレミングを食べてみよう!

どこで買えるの?

シュールストレミングは多くの航空会社で、飛行中の気圧低下により内圧の高いシュールストレミングの缶が破裂して周辺の荷物に悪臭が染み付く恐れがあるとして、航空機内への持ち込みが禁じられています。大袈裟に感じられるかもしれませんが、シュールストレミングの匂いは服などに付着すると何度洗っても落ちないそうです。逃げ場がなく、窓も開けられない飛行機の上でそんなものが爆発したらと考えると、決して大袈裟ではないと思います。このように、航空便が不可能なため、気圧変化が少ない船舶輸送以外では輸入できないのが現状です。ヨーロッパから日本までの船舶輸送には最短で37日、長ければ2か月近くかかり、また北欧の低い気温での保存を前提としているシュールストレミングは、冷蔵せずに熱帯を通過して輸送されることもあり、日本では固形部分が残っていないこともあります。日本国内では日本政府によるニシンの輸入割当制度による輸入量制限などで、「川口貿易」のみが輸入しているのですが、それ以外にインターネットの通信販売などでも購入が可能です。価格は大体1缶5000円程度で購入できます。

開け方

まず、購入した缶詰は開ける日まで絶対に常温にしないでください。常温で保存すると発酵が進み過ぎて爆発したり、中のニシンが溶けてしまうこともあるので、必ず冷蔵庫で保存しましょう。缶を開ける際には、必ず屋外の広い場所で行いましょう。人気のない河原などを選び、風下に人がいないことを確認してください。また、缶の汁が衣服などに飛ぶとその匂いやシミは何度洗っても落ちないので、捨てても良い服で挑むか、使い捨てのレインコートなどを着て行うといいでしょう。汁が飛び散らないよう、ゴミ袋などのビニール袋に入れてから開けるといいですね。ちなみに開けるときに手に付いた臭いも中々落ちないようなので、手袋などをすることをお勧めします。

食べ方

缶から中身を出したら、まずアクアヴィットと呼ばれるスピリッツで身を洗いましょう。アクアヴィットが手に入らなければウォッカでも代用できます。シュールストレミングはとても塩辛いので、そのまま食べるのではなくフォークなどで細かく刻んでパンに乗せて食べてみてください。本場スウェーデンの人達は、トゥンブレッドと呼ばれる薄いピタパンのようなパンに乗せます。付け合わせには、茹でたジャガイモ、赤玉ねぎのみじん切り、サワークリームやゴートチーズ、バターなどを用意し、それらを全部一緒にトゥンブレッドに巻いて食べるそうです。シュールストレミングだけで食べるのは日本人には難しいと思いますが、玉ねぎやポテトやチーズと一緒なら食べられそうな気がします。トマトやディルやキュウリのスライスを合せることもあるそうです。オイルサーディンやアンチョビのような使い方をイメージするといいのかなと思います。飲み物はビールが良く合うそうです。